中小企業広報がぶつかる「3つの壁」と、それを乗り越えるための具体的な戦略
「広報担当になったけど、何から手をつければいいか分からない」
「プレスリリースを書いても全く反応がない」
「社長に『で、それって売上に繋がってるの?』と聞かれて言葉に詰まる」
予算も人員も限られる中で、たった一人で、あるいは兼務で広報の重責を担うご担当者様から、日々このような切実なご相談を受けます。
しかし、ご安心ください。中小企業の広報には、大企業にはない「最強の武器」があります。
そして、私たちWebマーケターの思考法を取り入れることで、その武器の威力は倍増します。
ここでは、中小企業広報がぶつかる「3つの壁」と、それを乗り越えるための具体的な戦略をお伝えします。
壁①【発信の壁】「うちにはニュースになるようなネタがない…」
よくあるお悩み(具体例)
- 「新商品や大きなイベントでもないと、発信することが思いつかない」
- 「誰に向けて発信すればいいのか分からず、結局当たり障りのない内容になってしまう」
- 「専門的すぎて、一般の人には面白くないと思っている」
これは、「広報=大きなニュースを発表すること」という思い込みから生じる問題です。
処方箋:視点を変え、「たった一人のファン」を作る
Webマーケティングの基本は「ユーザーの悩みや知りたいことに応える」ことです。
すごいニュースは必要ありません。
- 「社内の日常」こそが最高のネタになる
あなたの会社では当たり前のことも、外から見れば新鮮で魅力的なストーリーです。- 例(製造業):
- NG:新技術の専門的なスペックを語る
- OK:「ベテラン職人が工具を大切に手入れする姿」「若手社員が開発で失敗したけど、そこから学んだこと」「お客様から届いた感謝の手紙」など、“人の顔が見える”ストーリーを発信する。
- 例(IT企業):
- NG:サービスの機能を箇条書きで説明する
- OK:「お客様がこのサービスを使って、業務時間が半分になった事例」「エンジニアがこだわった、目立たないけど超便利な機能の裏話」など、”誰かがどう幸せになったか”を発信する。
- 例(製造業):
- 「たった一人のお客様(ペルソナ)」に向けて語りかける
「世間一般」に向けて発信すると、誰の心にも響きません。
理想のお客様像を一人、具体的に設定しましょう。- 例(地方の食品会社):
ペルソナを「東京在住、30代、共働きで忙しいけれど、子供には安心なものを食べさせたいお母さん」と設定します。
→ その人に語りかけるように、「この野菜、うちの畑のおじいちゃんが農薬を使わずに育てたんですよ」「忙しい日の夕食に、これ一つで栄養満点です」と発信すれば、言葉の刺さり方が全く変わります。
- 例(地方の食品会社):
壁②【手段の壁】「どうせ誰も見てくれない…」
よくあるお悩み(具体例)
- 「プレスリリースを送っても、なしのつぶて。メディアに相手にされない」
- 「SNSを始めたけど、フォロワーが増えないし、何を投稿すればいいか分からない」
これは、「メディアに取り上げられる」ことだけをゴールにしているために起こる問題です。
処方箋:「待つ広報」から「自らがメディアになる広報」へ
現代では、すべての企業が自前のメディアを持つことができます。
大手のメディアに選ばれるのを待つ必要はありません。
- プレスリリースは「素材」と考える
記者に送るだけでなく、その内容を自社のブログやnoteで公開しましょう。
専門用語を減らし、写真や開発の裏話などを加えて、一般の人が読んでも面白い記事に仕立て直します。
その記事がSNSで少しでもシェアされれば、それを見た記者から取材依頼が来ることもあります。 - SNSは「一つ」に絞り、継続する
流行りに乗って全部に手を出すと、疲弊してしまいます。
先に設定した「ペルソナ」が一番よく使っているSNSを一つだけ選び、そこに集中しましょう。- Instagram: “映える”商品、美しいオフィス、社員の笑顔など、ビジュアルで魅力を伝えやすい場合に最適。
- Facebook/note: 社長の想いや開発秘話など、少し長めのストーリーをじっくり伝えたい場合に最適。
- X (Twitter): 業界のニュースへのコメントや、お客様との気軽なコミュニケーションなど、リアルタイムな情報発信に最適。
壁③【効果測定の壁】「広報の成果をどう説明すればいい…」
よくあるお悩み(具体例)
- 「社長に『で、売上は上がったのか?』と聞かれると、答えられない」
- 「自分のやっていることが、本当に会社の役に立っているか自信が持てない」
広報活動をいきなり「売上」という最終ゴールに結びつけようとすると、誰しもが挫折します。
処方箋:「売上までの道のり」を分解し、小さな成果を見せる
Webマーケティングでは、「認知→興味→検討→購入」という購買ファネルで考えます。
広報の成果も、この道のりの途中で測れば良いのです。
- 「売上」の前に「小さなKPI」を設定する
- 認知の成果: Webサイトへのアクセス数、SNSのフォロワー数、記事の表示回数
- 興味の成果: 記事の「いいね!」やコメント数、メルマガ登録者数
- 検討の成果: 「会社名」での検索数、問い合わせ件数、採用応募者数
- 成果を「ストーリー」で報告する
「頑張っています」ではなく、数字とストーリーで報告しましょう。- 報告例:
「先月から始めた〇〇というテーマのブログですが、SNSでシェアされた結果、Webサイトへのアクセスが前月比で30%増加しました。特にこの記事から、採用ページへ50人も移動しており、先日の応募者も『ブログを読んで面白そうな会社だと思った』と話していました。このように、未来の仲間作りに確実に繋がっています」
- 報告例:
最後に:中小企業の広報は「正直さ」が最大の武器
大企業のように洗練されていなくても、飾らなくても大丈夫です。
中小企業の広報は、「社長の顔が見える」「社員の想いが伝わる」「お客様の声に真摯に耳を傾ける」といった、人間味あふれる「正直さ」こそが、人の心を動かす最大の武器になります。
完璧を目指さず、まずは一つの発信から。
Webマーケティングの視点を取り入れて、貴社だけのストーリーを世界に届けていきましょう。
お客様に合った解決策をご提案いたします。
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