「給与改定」を成功させる5つのポイント|従業員の納得感を高め、離職を防ぐ人事戦略

「給与改定」を成功させる5つのポイント 従業員の納得感を高め、離職を防ぐ人事戦略
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給与改定を成功に導き、離職を防ぐための5つの重要なポイント

年に一度の給与改定シーズン。人事担当者様、管理職の皆様にとっては、従業員のモチベーションと会社の業績を両立させるための、最も重要かつ頭を悩ませる時期ではないでしょうか。

「評価と昇給額に従業員が納得してくれない」
「給与改定後に優秀な人材が離職してしまった」
「そもそも何を基準に決めれば良いのかわからない」

このような課題は、多くの企業が直面しています。給与改定は、単なる「給与額の更新作業」ではありません。
従業員のエンゲージメントを高め、組織の成長を加速させるための戦略的な投資です。

本記事では、給与改定を成功に導き、従業員の納得感を醸成して離職を防ぐための5つの重要なポイントを、具体的なアクションプランと共に解説します。

そもそも給与改定とは?昇給・昇格との違い

本題に入る前に、基本的な用語を整理しておきましょう。

  • 給与改定(きゅうよかいてい):企業の賃金制度に基づき、従業員の基本給や諸手当を見直すこと全般を指します。
    これには給与を上げる「昇給」だけでなく、現状維持や、場合によっては引き下げる「減給」も含まれます。
  • 昇給(しょうきゅう):給与改定の一環で、基本給が上がることです。
  • 昇格(しょうかく):社内の役職や等級(グレード)が上がることです。多くの場合、昇格に伴い昇給が発生します。

給与改定は、これらを含むより広い概念であり、企業の経営方針や個人のパフォーマンスを反映する重要な人事イベントです。

なぜ今、戦略的な給与改定が重要なのか?

近年、給与改定の重要性はますます高まっています。その背景には、主に3つの要因があります。

  1. 労働市場の激化と人材獲得競争
    少子高齢化により、優秀な人材の獲得競争は激化の一途をたどっています。
    競合他社に魅力的な人材が流出するのを防ぎ、自社に惹きつけるためには、競争力のある給与水準と、納得感のある評価制度が不可欠です。
  2. 従業員エンゲージメントの向上
    自分の働きが正当に評価され、報酬に反映されていると感じることは、従業員のエンゲージメント(仕事への熱意や貢献意欲)を直接的に高めます。
    エンゲージメントの高い組織は、生産性が高く、離職率が低いことが知られています。
  3. 物価上昇への対応と「賃上げ」の社会的要請
    昨今の物価上昇を受け、従業員の生活を守るための「賃上げ」は社会的な要請となっています。
    これに応えることは、企業の社会的責任(CSR)の一環であり、従業員のロイヤリティを高めることにも繋がります。

【本編】給与改定を成功に導く5つのポイント

それでは、従業員の納得感を高め、組織を強くする給与改定の5つのポイントを見ていきましょう。

ポイント1:明確で公平な評価制度の構築

納得感の根幹は「公平性」です。
上司の主観や印象だけで給与が決まってしまうと、従業員は不満を抱きます。

  • アクションプラン:
    • 評価基準の言語化・数値化: 役職や等級ごとに求めるスキル、行動、成果(KPI)を明確に定義し、評価シートに落とし込みます。
    • MBO(目標管理制度)の導入: 期初に上司と部下で具体的な目標を設定し、期末にその達成度で評価することで、評価の客観性を高めます。
    • 評価者トレーニングの実施: 管理職向けに評価方法や面談の進め方に関する研修を行い、評価のブレをなくします。

ポイント2:評価結果の丁寧なフィードバック

たとえ昇給額が期待通りでなくても、その理由がきちんと説明されれば、従業員の納得感は大きく変わります。
「なぜこの評価なのか」「来期は何を期待されているのか」を伝える場が不可欠です。

  • アクションプラン
    • 1on1面談の徹底: 給与改定の通知は、メールや書面だけでなく、必ず上司との1on1面談で行います。
    • ポジティブな点と改善点を両方伝える: 評価の良かった点を具体的に称賛し、今後の成長のために期待する点を建設的に伝えます。
    • キャリアプランを共有する: 今回の評価が、本人の今後のキャリアにどう繋がるのかを一緒に話し合うことで、未来へのモチベーションを引き出します。

ポイント3:賃金テーブルと世間相場の活用

自社の給与水準が適正かどうかを客観的に判断するために、外部のデータを活用しましょう。
これにより、属人的な判断を防ぎ、説明責任を果たしやすくなります。

  • アクションプラン
    • 賃金テーブルの整備: 役職や等級に応じた給与レンジを定めた「賃金テーブル」を作成・見直し、給与決定の根拠とします。
    • 市場調査の実施: 厚生労働省の統計や、民間の調査会社が発表する同業種・同職種の給与相場データを参考に、自社の水準を定期的に確認します。

ポイント4:会社の業績とビジョンを伝える

給与の原資は、会社の利益です。なぜ今回の昇給率になったのか、その背景にある会社の業績や経営状況を正直に伝えることも、従業員の理解を得る上で重要です。

  • アクションプラン:
    • 全社説明会や社内報での情報共有: 決算のタイミングなどで、会社の業績や今後の事業戦略を全社に共有します。
    • 個人の貢献と会社へのインパクトを結びつける: フィードバック面談の際に、「あなたのこの仕事が、会社のこの部分の成長に繋がった」と具体的に伝えることで、貢献実感を持たせます。

ポイント5:給与以外の報酬(トータルリワード)も視野に入れる

報酬は、金銭だけではありません。特に若い世代は、働きがいや成長機会も重視します。

  • アクションプラン
    • 非金銭的報酬の提示: スキルアップのための研修機会、書籍購入補助、挑戦的なプロジェクトへのアサイン、柔軟な働き方(リモートワーク、フレックスタイム)など、金銭以外の魅力をアピールします。
    • 「トータルリワード」の考え方を伝える: 給与、賞与、福利厚生、働きがい、成長機会などを総合したものが、会社から従業員への報酬であるという考え方を社内に浸透させます。

まとめ:給与改定は、未来への投資である

給与改定は、過去1年間の働きに報いるだけでなく、従業員の未来への期待を伝え、会社との信頼関係を再構築する絶好の機会です。

今回ご紹介した5つのポイント、

  1. 明確で公平な評価制度
  2. 丁寧なフィードバック
  3. 賃金テーブルと世間相場の活用
  4. 会社の業績とビジョンの共有
  5. 給与以外の報酬(トータルリワード)

これらを実践することで、給与改定は単なるコストから組織を成長させる戦略的人事へと昇華します。従業員一人ひとりが「この会社で働き続けたい」と思えるような、納得感のある給与改定を目指しましょう。

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