人事担当者が知っておくべき3つのポイント
はじめに:2026年、会社のルールがまた変わります!
実は2026年(令和8年)前後にも、労働基準法(働くための法律)の大きな変更が予定されているのをご存じでしょうか?
「えっ、また変わるの?」「難しくてよくわからない……」
そう思うのも無理はありません。
しかし、今回の改正議論は、私たちにとって「働きやすさ」に直結するかなり重要な内容なのです。
この記事では、難しい法律用語は抜きにして、結局、何が変わるの?」「会社は何を準備すればいいの?」というポイントを3つに絞ってお伝えします。
ポイント1:「休息時間(インターバル)」が義務になるかも?
今回の一番の目玉と言われているのが、「勤務間インターバル制度」というルールです。
名前は少し硬いですが、中身はシンプルです。
「仕事が終わってから、次の日の仕事が始まるまで、必ず〇時間は休んでね」いうルールのことです。
- これまでのルール:
「なるべく休ませるように努力してね(努力義務)」というレベルでした。 - 2026年からの予想:
「必ず11時間(例)空けなさい!」という義務になる可能性が高いと言われています。
【どんな影響がある?】
例えば、「夜の23時まで残業した」とします。
これまでは翌朝9時に出社しても法律上はOKでしたが、もし「11時間空けるルール」が義務化されると、翌日は朝10時以降にしか出社させてはいけないことになります。
これは単なるルールの変更ではなく、勤怠管理やシフトの組み方がガラッと変わる大きな話です。
ポイント2:副業の「時間計算」がラクになる?
最近、「副業OK」の会社が増えていますよね。
でも、人事担当者を悩ませていたのが「時間の管理」でした。
これまでは、本業と副業の時間を「合算」して管理する必要がありました。
(例:本業8時間 + 副業2時間 = 今日は10時間働いたことになるので、残業代の計算が複雑……)
これが次回の改正では、「もっとシンプルにしよう」という方向で話が進んでいます。
「働いた時間はそれぞれの会社で管理すればOK(通算しない)」となれば、会社としても管理の手間が減り、「副業、もっと自由にやっていいよ!」と言いやすくなります。
ポイント3:もっと自由に!「2週間」単位の働き方
今まで、労働時間といえば「1日8時間・週40時間」が基本でした。
しかし、これからは「2週間(14日)」単位で働く時間を調整できる新しい仕組みの導入も検討されています。
- イメージ:
「今週は忙しいからガッツリ働くけど、来週は週3日休みにしよう」
このように、メリハリをつけた働き方(週休3日制など)が、今よりも導入しやすくなる可能性があります。
介護や育児、自己研鑽など、社員のライフスタイルに合わせた柔軟な制度が作れるようになるかもしれません。
【重要】本記事の法改正情報について(2025年11月現在)
ここで一度、情報の整理(ファクトチェック)をしておきましょう。
本記事は、厚生労働省の「労働基準関係法制研究会」などで議論されている内容や、これまでの法改正スケジュールに基づいた予測を含んでいます。
読者の皆様に特に知っておいていただきたい「現時点での確定・未確定ライン」は以下の通りです。
| 項目 | 現状のルール(〜2025年) | 今後の議論・改正の方向性 |
| 勤務間インターバル | 導入は企業の「努力義務」 (やらなくても罰則なし)。 | 「義務化」に向けた議論が進行中。 まずは過労死ラインに近い残業がある場合や、特定業種から義務化される可能性があります。 |
| 副業の労働時間 | 本業と副業の時間を「通算(合算)」して管理する必要がある。 | 管理が複雑すぎるため、「通算しない(各社ごとの管理)」とする方向で調整が進められています。 |
| 法改正の時期 | ー | 正式な施行日は未定ですが、これまでのサイクルから2026年4月頃の施行や、段階的な適用が予測されています。 |
詳細なルールは国会での審議を経て決定されますが、「こういう大きな流れがきている」と知っておくだけで、対策のスピードが変わります。
ピンチをチャンスに!法改正は「良い会社」を作るきっかけ
「法律への対応」と聞くと、「面倒だな……」と感じるかもしれません。
でも、今回の改正の目的はすべて「社員が健康に、自分らしく働くため」のものです。
- しっかり休める(インターバル)
- 副業でスキルアップできる
- ライフスタイルに合わせて働ける
こうした環境が整っている会社は、「この会社で働きたい!」と求職者に選ばれる会社になります。
つまり、法改正への対応は、優秀な人を採用するための最強の武器になるのです。
明日からできる!まずは「現状チェック」から
2026年の施行に向けて、今からできることが一つだけあります。
それは、「今の社員の働き方を見てみること」です。
- 昨日の夜遅くまで残業していた人は、今朝何時に出社しましたか?(休息時間は足りていますか?)
- 副業をしたいと言っている社員はいませんか?
まずはシステムを変える必要はありません。
「もし明日からルールが変わったら、ウチは大丈夫かな?」という視点で、社内を眺めてみてください。
【最後に】
本記事の内容は現時点での有力な検討情報をまとめたものです。
法案提出・施行段階で変更される可能性がありますので、企業の皆さまは最新情報を確認しながら、できるところから準備を進めていただければと思います。

