入社後のミスマッチ(食い違い)」をなくすための具体的な3つのステップ
【導入】「あんなに良い人だったのに…」なぜ採用は失敗するのか?
「面接ではハキハキしていて完璧だったのに、入社したら全然動けない…」
「『頑張ります!』と言っていたのに、半年で辞めてしまった」
採用に関わる方なら、一度はこんな経験があるのではないでしょうか?
実は、これには明確な理由があります。
それは、「面接という短い時間だけで、すべてを見抜こうとしているから」です。
人の本質は、たった1時間の会話では見えません。
今回は、難しい専門知識は一切なしで、「入社後のミスマッチ(食い違い)」をなくすための具体的な3つのステップをご紹介します。
【理由】面接で見えているのは「氷山の一角」だけ
人を氷山に例えてみましょう。
- 海の上(見える部分): 学歴、職歴、資格、面接での受け答え
- 海の下(見えない部分): 性格、価値観、ストレスへの強さ、仕事への本当のモチベーション
面接で見えているのは、海の上に出ているごく一部だけです。
しかし、入社後のトラブルの原因になるのは、ほとんどが海の下にある「価値観の違い」です。
「面接官の直感」や「話しやすさ」だけで決めてしまうと、この海の下の部分を見落としてしまいます。
だからこそ、面接以外の方法を使って、この「見えない部分」を確認する仕組みが必要なのです。
【実践】ミスマッチを防ぐ「採用の仕組み」3つのステップ
では、具体的にどうすればいいのでしょうか?
誰でもできる3つのポイントに絞りました。
ステップ1. 「どんな人が欲しいか」を具体的すぎるくらい決める
「コミュニケーション能力がある人」という言葉で募集していませんか?これは要注意です。
「誰とでも仲良くなれる人」なのか、「難しいことをわかりやすく説明できる人」なのか、人によって解釈がバラバラだからです。
ポイントは2つです。
- 行動レベルまで落とし込む
- × コミュニケーション能力がある人
- ○ 初対面のお客様とも、緊張せずに世間話から入れる人
- 「こういう人は合わない」をハッキリさせる
- 「指示待ちの人は活躍できない」「スピードより慎重さを重視する人は合わない」など、自社の社風に合わないタイプを言語化しておきましょう。これがあるだけで、判断基準がグッと明確になります。
ステップ2. 面接だけでなく「実技」や「体験」を入れる
面接上手な人が、仕事上手とは限りません。
実際の仕事ぶりを見る工夫を入れましょう。
- 簡単な課題をやってもらう:
- 営業なら「この商品を私に売り込んでみて」とロールプレイングをする。
- 事務なら「このデータ入力とメール作成をやってみて」と実際にパソコンを触ってもらう。
- 現場社員とランチに行く:
- 面接室を一歩出れば、候補者も「素」が出やすくなります。
- 現場の社員に「一緒に働けそう?」と感想を聞くのが一番の判断材料になります。
ステップ3. 良いことだけでなく「大変なこと」も正直に伝える
ここが一番重要です。
どうしても「入社してほしい!」と思うと、自社の良いところばかりアピールしたくなりますよね。
でも、あえて「うちは残業も多いし、泥臭い仕事も多いですよ」「教育制度は整っていないから、自分で学ぶ必要がありますよ」と、ネガティブな情報も正直に伝えましょう。
これを専門用語で「RJP(現実的な仕事の予告)」と言いますが、要は「予防接種」です。
先に「ここが大変」と知っていれば、入社後に「話が違う!」とショックを受けることがなくなります。
「それでもやりたいです」と言ってくれる人こそ、本当に定着してくれる人材です。
【その後】入社して3ヶ月間はまだ「採用活動中」
内定を出して、入社日が来たら「採用担当の仕事は終わり」と思っていませんか?
実は、入社直後こそが一番不安な時期です。
- 「入社前のイメージと違ったことはない?」
- 「困っていることはない?」
と、最初の3ヶ月間はこまめに声をかけましょう。
小さな「ズレ」を早めに修正することで、早期離職は劇的に防げます。
【まとめ】採用は「宝くじ」ではなく「準備」で決まる
- 欲しい人物像(特に合わないタイプ)を明確にする
- 面接以外の「実技」や「ランチ」で素顔を見る
- 会社の「大変なところ」も正直に伝えておく
この3つを意識するだけで、採用は「運任せの宝くじ」ではなく、狙って成功させるものに変わります。
まずは次の面接から、「うちの会社の大変なところ」を正直に話すことから始めてみませんか?

