部下のミスに「次から気をつけて」で終わっていませんか?|同じミスを繰り返さない振り返り方

同じミスを繰り返さないために部下と仕事の進め方や再発防止策を振り返る中小企業の管理職

部下が仕事でミスをした。

本人も反省している様子だったため、

「次から気をつけてください」

と伝えた。

部下も、

「分かりました。気をつけます」

と答えた。

ところが数週間後、同じようなミスが起きる。

このような経験をした管理職は少なくないのではないでしょうか。

同じミスが続くと、

「前にも言ったはずなのに」

「本人に注意力がないのではないか」

「反省していなかったのではないか」

と考えたくなることがあります。

もちろん、本人が注意することが必要な場面もあります。

しかし、

「次から気をつける」

だけでは、具体的に何を変えるのかが決まっていません。

入力する前に確認するのか。

依頼を受けた時点でメモするのか。

判断に迷ったら誰かへ聞くのか。

提出前にチェックリストを見るのか。

仕事量そのものを調整するのか。

ここまで決まって初めて、再発防止につながります。

また、ミスの原因が本人の注意不足とは限りません。

指示が曖昧だった。

判断基準が共有されていなかった。

確認工程がなかった。

仕事が一人へ集中していた。

教える人によってやり方が違った。

といった職場側の要因が関係していることもあります。

大切なのは、

「誰が悪かったか」

だけを探すのではなく、

「どこでミスが起き、次はどこを変えれば防げるか」

を整理することです。

この記事では、中小企業の経営者・管理職向けに、部下がミスをした時に「次から気をつけて」で終わらせず、同じミスを繰り返さないための振り返り方、質問例、原因別の対応、管理職側が見直したいポイントを解説します。

目次

なぜ「次から気をつけて」だけでは同じミスを防ぎにくいのか

「次から気をつけてください」

という言葉自体が悪いわけではありません。

問題は、その後に、

「何を変えるのか」

が決まっていないことです。

たとえば、

請求書の金額を間違えた。

というミスがあったとします。

本人が、

「次から入力ミスに気をつけます」

と反省したとしても、具体的な行動が変わらなければ、忙しい時に再び同じミスが起こる可能性があります。

一方、

入力後に元資料と金額を照合する。

別の箇所を一つ確認してから送信する。

一定金額以上の場合は上司へ確認する。

というように行動まで決めれば、次回の仕事の進め方が変わります。

再発防止で必要なのは、

反省の強さ。

より、

行動の変化。

です。

本人が十分反省していたとしても、仕事の進め方が同じなら、同じ条件で同じミスが起こることがあります。

同じミスが続く時にまず分けたい3つの原因

ミスが起きた時に、

「注意不足」

だけでまとめないことが重要です。

原因を大きく分けると、少なくとも次の3つがあります。

1. 知識・経験が足りなかった

本人が正しい方法を知らなかったケースです。

たとえば、

・社内ルールを知らなかった
・商品の違いを理解していなかった
・操作方法を覚えていなかった
・例外時の対応を知らなかった

という場合です。

このケースでは、

「気をつける」

より、

「正しい知識を確認する」

必要があります。

【文例】

今回のケースについて、どのルールを使えばよいか分かっていましたか?

知らなかったのであれば、本人の注意力だけでは防げません。

教える。

資料を作る。

確認場所を決める。

といった対応を検討します。

2. 判断基準が分からなかった

手順自体は知っていても、

「この場合はAなのかBなのか」

が分からないケースです。

たとえば、

通常は自分で対応してよい。

しかし、金額が一定以上なら上司へ相談する。

というルールがあるとします。

この境界が曖昧なら、本人は毎回自分なりに判断します。

結果として、

「なぜ相談しなかったの?」

という問題が起こります。

この場合に必要なのは、

もっと慎重になること。

ではなく、

どこまで自分で判断してよいかを明確にすること。

です。

3. 仕事の仕組み・環境に原因があった

本人は方法を理解していても、ミスが起きやすい環境になっている場合があります。

たとえば、

・電話対応をしながら入力している
・締切直前に大量の仕事が集中する
・チェックする工程がない
・似たファイル名が多い
・最新版がどれか分からない
・口頭依頼が多い
・一人しか業務内容を知らない

という状態です。

この場合、

本人だけに、

「もっと集中してください」

と伝えても、根本的な改善にならない可能性があります。

本人。

仕事の進め方。

管理職の指示。

職場の仕組み。

を分けて考えましょう。

関連記事:同じミスへの対応だけでなく、部下への仕事の任せ方や考える機会、失敗後の関わり方まで含めて人材育成全体を見直したい場合はこちらも参考にしてください。

ミス後の振り返りで確認したい5つのこと

ミスが起きた時は、すぐに原因を決めつけるのではなく、順番に整理します。

1. 実際に何が起きたのか

最初に確認するのは、

「事実」

です。

【文例】

今回、どの段階で何が起きたのか、順番に確認してもよいですか?

たとえば、

10時に依頼を受けた。

11時に入力した。

途中で電話対応をした。

入力を再開した。

確認せず送信した。

午後に間違いが判明した。

という流れです。

この段階では、

「なぜそんなことをしたの?」

と責める必要はありません。

まず出来事を整理します。

2. どこでミスに気づけた可能性があったか

次に、

「どの時点なら防げたか」

を確認します。

【文例】

今回、途中で確認できるとしたら、どのタイミングだったと思いますか?

たとえば、

入力した直後。

送信する前。

上司へ報告する時。

などです。

ミスが起きた瞬間だけではなく、

「その後に気づける場所」

を探すことも重要です。

3. なぜその判断をしたのか

本人の判断理由を聞きます。

【文例】

その時、どう考えてこの方法にしましたか?

この質問をすると、

「急いでいたから」

「いつもこの方法だから」

「前回もそうだったから」

「上司へ聞くほどではないと思ったから」

など、背景が分かります。

管理職から見ると明らかな間違いでも、本人なりの理由がある場合があります。

その理由を確認しなければ、次回も同じ判断をする可能性があります。

4. 次に同じ場面が来たら何を変えるか

ここから再発防止へ移ります。

【文例】

次に同じ仕事をするとしたら、今回と何を変えますか?

ここで、

「気をつけます」

だけなら、もう一段具体化します。

【文例】

具体的には、どのタイミングで何を確認しますか?

たとえば、

送信ボタンを押す前に注文書と照合する。

依頼を受けたらその場で期限を入力する。

判断に迷ったら金額○円以上は上司へ確認する。

といった行動にします。

5. 本人以外で変えられることはないか

最後に、

会社側で改善できることも確認します。

【文例】

今回のようなことを防ぐために、仕事の進め方や仕組みで変えられそうなところはありますか?

たとえば、

・チェック欄を追加する
・依頼方法を口頭からチャットへ変える
・テンプレートを作る
・確認者を決める
・作業時間を確保する
・ルールを文章にする

などです。

再発防止を、

「本人の努力」

だけにしないようにします。

ミス後の振り返り面談は「責める場」にしない

ミスが起きると、管理職も対応に追われます。

顧客への謝罪。

修正作業。

社内報告。

追加費用。

などが発生すれば、感情的になることもあります。

しかし、振り返りの目的は、

本人を落ち込ませること。

ではありません。

次回の行動を変えること。

です。

最初に事実を確認する

【文例】

今回の件を責めるためではなく、同じことを防ぐために一度流れを確認したいです。

と目的を伝える方法があります。

本人も、

「叱られる時間」

ではなく、

「改善する時間」

と理解しやすくなります。

管理職が答えを先に言いすぎない

管理職が、

「原因は確認不足でしょう」

「電話しながらやったからでしょう」

「ちゃんとメモしないからです」

と最初から答えを決めると、本人は、

「はい」

と答えるだけになります。

まず、

【文例】

自分では、どこが一番の原因だったと思いますか?

と本人の考えを聞きます。

本人の認識と管理職の認識が違うこともあります。

原因を一つに決めすぎない

ミスには複数の要因が重なっている場合があります。

たとえば、

本人が確認しなかった。

だけでなく、

締切が集中していた。

確認ルールが決まっていなかった。

依頼内容が途中で変更された。

ということもあります。

一つの原因だけで終わらせず、

本人。

指示。

業務量。

仕組み。

を分けて確認します。

最後に「次の一つ」を決める

改善策を大量に決める必要はありません。

【例】

・メモを取る
・ダブルチェックする
・早めに報告する
・確認を徹底する
・集中する
・余裕を持つ

と6個決めても、実行されない可能性があります。

まず、

「次回から必ず変える一つ」

を決めます。

【文例】

今回の件では、まず送信前の照合を必ず行うことから始めましょう。

必要に応じて、その後に改善を追加します。

ミスの原因別に再発防止を変える

すべてのミスに同じ指導をする必要はありません。

原因に合わせて対応します。

知識不足なら「もう一度教える」

本人が知らなかったのであれば、

注意。

より教育が必要です。

【対応例】

・手順を再説明する
・マニュアルを確認する
・一緒に一度やってみる
・次回は本人に説明してもらう

一度教えた内容だからといって、

「前にも言ったでしょう」

だけで終えないようにします。

頻度が低い仕事なら、忘れていても不自然ではありません。

判断基準が曖昧なら「境界を決める」

本人が迷ったのであれば、

「何でも確認して」

ではなく、

判断基準を決めます。

【例】

○円未満:
自分で判断してよい。

○円以上:
上司へ確認。

通常対応:
自分で進める。

例外対応:
担当者へ相談。

こうしておけば、次回の行動が明確になります。

確認漏れなら「確認する場所を固定する」

「ちゃんと確認してください」

だけでは曖昧です。

【例】

入力終了時。

元資料と照合。

送信前。

最終確認。

というように、確認する場所を決めます。

チェックリストを使う方法もあります。

忙しさが原因なら「業務量」を確認する

普段は問題なくできている社員が、繁忙期だけミスを繰り返している場合があります。

このケースで、

「もっと集中してください」

と伝えても改善しにくいでしょう。

【確認例】

・予定外の仕事が増えていなかったか
・複数業務を同時に進めていなかったか
・休憩を取れていたか
・締切が重なっていなかったか
・一人へ仕事が集中していなかったか

業務量そのものを調整する必要がある場合もあります。

仕組みが原因なら「人が間違えても止まる状態」を作る

人は間違える可能性があります。

そこで、

「誰も間違えないこと」

だけを目標にせず、

「間違えても途中で気づけること」

も考えます。

たとえば、

入力ミス。

送信前に確認欄。

発注ミス。

一定金額以上は承認。

最新版の取り違え。

保存場所を一本化。

期限忘れ。

受けた時点で共有カレンダーへ登録。

という方法があります。

「気をつける」を具体的な行動に変える

再発防止策を考える時は、

「実際に何をするのか」

まで落とします。

曖昧な再発防止

【例】

次から注意する。

確認を徹底する。

余裕を持って作業する。

報告を早くする。

よく考えてから対応する。

これらは方向性としては間違っていません。

しかし、行動としては曖昧です。

具体的な再発防止

【例】

次から注意する。

送信前に注文書と入力画面を一度照合する。

確認を徹底する。

作業終了時にチェックリスト5項目を確認する。

報告を早くする。

納期に1日以上影響しそうだと分かった時点で上司へ連絡する。

よく考える。

AとBで迷った場合は、自分の判断理由を書いてから上司へ相談する。

このように、

いつ。

何を。

どうする。

まで決めます。

同じミスが続く部下へ避けたい対応

同じミスが繰り返されると、管理職も対応が厳しくなりがちです。

ただし、次のような対応は状況を悪化させる可能性があります。

「前にも言ったよね」で終わらせる

前にも伝えたこと自体は事実かもしれません。

しかし、

なぜ前回の改善策が続かなかったのか。

を確認しなければ、再び同じことが起きます。

【文例】

前回は送信前に確認することにしましたが、今回はなぜ確認できなかったのでしょうか?

前回決めた改善策そのものを振り返ります。

人格とミスを結びつける

【避けたい伝え方】

いつも雑だよね。

注意力がない。

仕事に対する意識が低い。

こうした言葉は、具体的にどの行動を変えればよいか分かりません。

【伝え方】

今回は、送信前の確認が行われていませんでした。

前回決めた確認方法が実行できなかった理由を一緒に確認しましょう。

行動を対象にします。

すぐ仕事を取り上げる

ミスが起きると、

「もう自分がやった方が早い」

と管理職が仕事を取り上げる場合があります。

緊急対応では必要なこともあります。

しかし、毎回取り上げると本人が経験を積めません。

ミスの原因を整理し、

確認工程を増やす。

一部だけ任せる。

途中で確認する。

など、再び任せる方法も検討します。

何でも上司確認に変える

ミス防止のため、

「これから全部確認してから進めて」

とすると、一時的には安全に見えます。

しかし、部下の判断力が育たず、管理職への確認も増えます。

重大なもの。

本人が判断してよいもの。

迷った時だけ確認するもの。

を分ける方がよいでしょう。

関連記事:ミスを注意した後に部下から質問や相談が減った場合は、「反省しているから大丈夫」と判断せず、普段の報告や会話など小さな変化も確認しておきましょう。

同じミスが起きた時は管理職側も振り返る

部下のミスだからといって、部下だけを振り返る必要はありません。

管理職側にも改善できることがあります。

指示は具体的だったか

【例】

これ急ぎでお願いします。

より、

今日15時までに○○まで完了してください。

完成したら送信前に一度私へ確認してください。

の方が具体的です。

期限。

完成状態。

確認の有無。

まで共有します。

判断基準を伝えていたか

管理職には当たり前でも、部下には分からないことがあります。

【例】

この程度なら自分で判断してよい。

この金額なら上司確認。

このお客様の場合は必ず相談。

などです。

結果だけを見て、

「普通は分かるでしょう」

としないようにします。

途中の確認ポイントを作っていたか

完成後だけ確認すると、途中で間違えていた場合にやり直しが大きくなります。

初めての仕事。

難易度の高い仕事。

影響の大きい仕事。

では、

最初の方向性。

途中。

完成前。

など、必要な場所で確認します。

ミスが起きやすい仕事を放置していないか

複数の社員が同じ箇所で間違えているのであれば、個人の問題ではない可能性があります。

【例】

新人も間違える。

中堅社員も間違える。

担当者が変わるたびに問題が起きる。

という仕事なら、

マニュアル。

画面。

申請方法。

確認フロー。

自体を改善できないか検討します。

5分でできるミスの振り返りフォーマット

重大な事故でなければ、毎回長時間の反省会を行う必要はありません。

短くても、

「次に何を変えるか」

まで決められれば意味があります。

たとえば、次の5項目を確認します。

1. 何が起きた?

【記入例】

注文数を10個のところ100個で登録した。

2. どこで起きた?

【記入例】

受注システムへ入力する時。

3. なぜ起きた?

【記入例】

電話対応後に入力を再開し、数字を確認しなかった。

4. どこで気づけた?

【記入例】

登録確定前の確認画面。

5. 次から何を変える?

【記入例】

電話などで作業を中断した場合は、再開時に元資料から入力内容を確認し直す。

この程度でも、

「気をつける」

から、

「何をするか」

へ変わります。

ミスの振り返りを1on1だけに持ち込まない

ミスについて話すために、

次の1on1まで待つ。

必要はありません。

業務上必要な修正や再発防止は、できるだけ早く確認します。

一方、1on1では、

「最近同じようなミスが増えていないか」

「仕事量や役割で困っていることはないか」

「判断しにくい仕事はないか」

など、背景を少し広く確認することができます。

日常業務:

具体的なミスの振り返り。

1on1:

仕事の進め方や背景の確認。

というように役割を分けるとよいでしょう。

関連記事:1on1を設けても部下から「特にありません」としか出てこない場合は、漠然と困りごとを聞くのではなく、最近の仕事や具体的な場面から会話を始める方法があります。

部下のミスを繰り返さないためのチェックリスト

ミス直後

・事実と感情を分けて確認した
・何が起きたか時系列で整理した
・本人の説明を聞いた
・管理職が最初から原因を決めつけていない
・必要な顧客対応や修正を先に行った

原因確認

・知識不足ではないか
・判断基準が曖昧ではないか
・確認工程が不足していないか
・仕事量が多すぎなかったか
・指示が曖昧ではなかったか
・仕組み自体に問題がないか

再発防止

・「気をつける」だけで終わっていない
・次回の具体的な行動を決めた
・いつ確認するか決めた
・誰へ相談するか決めた
・本人だけでなく仕組みの改善も検討した
・改善策を増やしすぎていない

管理職側

・指示内容を見直した
・判断してよい範囲を伝えた
・必要な確認ポイントを設定した
・すぐ仕事を取り上げていない
・何でも上司確認にしていない
・人格ではなく行動について話した

その後

・決めた改善策が実行されているか確認した
・同じミスが起きた場合は前回の対策も見直した
・他の社員にも同じミスが起きていないか確認した
・必要な内容をマニュアルやチェックリストへ反映した

まとめ:「反省したか」ではなく「次の行動が変わるか」を確認する

部下がミスをした時、

「次から気をつけてください」

「分かりました」

だけで終わることがあります。

本人が反省しているのであれば、それ以上話す必要はないようにも見えます。

しかし、

反省していること。

と、

再発を防げること。

は別です。

確認したいのは、

何が起きたのか。

どこで防げたのか。

なぜその判断になったのか。

次回は何を変えるのか。

会社側で変えられることはないか。

です。

そして、

「確認する」

ではなく、

「送信前に元資料と照合する」。

「早めに報告する」

ではなく、

「納期へ1日以上影響しそうだと分かった時点で報告する」。

というように、具体的な行動まで決めます。

また、ミスの原因をすべて本人へ求めないことも重要です。

指示。

判断基準。

業務量。

確認工程。

仕組み。

にも問題がないか確認します。

部下を育てるということは、

ミスを一度もさせないこと。

ではありません。

起きたミスから、

何を学ぶか。

次に何を変えるか。

を一緒に整理し、少しずつ本人が自分で改善できる状態を作ることです。

「次から気をつけて」

で終わらせず、

「では、次は具体的に何を変える?」

まで確認する。

この小さな振り返りを積み重ねることで、同じミスの繰り返しを減らし、部下の判断力や仕事の進め方を育てることにつながります。

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関連ページ:採用・定着支援や各種サービスについて、相談前によくいただく質問は「よくある質問」にまとめています。

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