地域商品を全国へ売るには?|ネットショップとふるさと納税の違い・始め方

地域商品を全国へ届けたい中小企業の事業者が、ネットショップとふるさと納税の違いや必要な準備を比較検討している様子

「地元で販売している商品を、全国の人にも届けたい」

「ネットショップを始めたいけれど、ふるさと納税も気になっている」

「どちらが自社に向いているのか分からない」

このように考えている中小企業や生産者もいるのではないでしょうか。

地域で作られた食品や工芸品などを全国へ届ける方法には、ネットショップやふるさと納税などがあります。

どちらも地域外の人に商品を知ってもらう機会になりますが、仕組みや必要な準備、日々の運用は異なります。

ネットショップは、自社の商品をお客様へ直接販売する方法です。一方、ふるさと納税は、自治体への寄附に対する返礼品として商品を提供する仕組みです。

そのため、どちらがよいかは、商品内容や現在の販売状況、社内の人員、今後どのような販路を作りたいかによって変わります。

この記事では、地域商品を全国へ届けたい中小企業・生産者向けに、ネットショップとふるさと納税の違い、自社に合う販路の考え方、始める前の準備について分かりやすく解説します。

目次

先に結論:ネットショップとふるさと納税は役割が違う

ネットショップとふるさと納税は、どちらも地域の商品を全国へ届ける手段ですが、同じ仕組みではありません。

ネットショップでは、お客様が商品を購入し、事業者が商品を販売・発送します。自社で販売するため、価格や商品構成、販売方法を考えやすい一方、お客様にショップを見つけてもらう工夫や、注文・決済・問い合わせへの対応が必要です。

ふるさと納税では、自治体へ寄附した方に対して、自治体の返礼品として商品を届けます。自社商品を全国へ知ってもらう機会になりますが、制度上の基準や自治体の運用条件を満たす必要があります。

また、自治体によっては、中間事業者が商品ページの掲載や寄附管理などを担当しています。

つまり、自社が行う仕事も、商品を届けるまでの仕組みも異なります。

まずは「どちらの方が売れそうか」だけでなく、「自社の商品や体制に合うのはどちらか」を考えることが大切です。

ネットショップとふるさと納税の違い

それぞれの特徴を、初心者向けに整理してみましょう。

ネットショップは自社の商品を直接販売する方法

ネットショップでは、インターネットを通じてお客様から注文を受け、商品を販売します。

自社でネットショップを運営する方法もあれば、ECモールなどの販売サービスを利用する方法もあります。

たとえば、地元の菓子店が焼き菓子を全国へ販売する、農家が加工品をセットにして販売する、工房が手作りの商品を販売するといった方法です。

ネットショップのメリットは、商品の見せ方や販売方法を自社で考えやすいことです。

商品説明や写真を工夫したり、季節限定の商品を販売したり、既存のお客様に新商品を案内したりすることもできます。

一方、ネットショップを作っただけでは、お客様に見つけてもらえるとは限りません。

商品を知ってもらうための案内や、販売後の問い合わせ対応、注文・発送の管理なども必要です。

また、自社ECとECモールでは、費用や利用できる機能、運営上のルールが異なります。利用するサービスの条件を確認して選びましょう。

ふるさと納税は自治体の返礼品として商品を届ける方法

ふるさと納税は、応援したい自治体へ寄附できる制度です。

自治体は、寄附へのお礼として、地域の商品やサービスを返礼品として提供する場合があります。

事業者は、自治体の返礼品提供事業者として商品を提供し、寄附に応じて商品を準備・発送します。

自治体のふるさと納税ポータルサイトを通じて、自社の商品を全国の寄附者に知ってもらえることがメリットの一つです。

ただし、通常のネット販売とは違い、返礼品として提供するには地場産品基準などの条件を満たす必要があります。

また、寄附金額は事業者が自由に決める通常の商品販売価格とは異なり、自治体の制度・運用に基づいて設定されます。

ここで大切なのは、ポータルサイトへの掲載作業を必ず事業者自身が行うわけではないという点です。

自治体によっては、中間事業者が商品ページの作成・掲載や寄附管理を担当します。

事業者側では、商品の情報を提供し、商品を製造・準備して出荷するなどの仕事が中心になる場合があります。

ただし、役割分担や費用負担は自治体によって異なるため、事前の確認が必要です。

ネットショップが向いているのはどんな事業者?

ネットショップは、自社の商品を直接販売する販路を作りたい事業者に向いています。

特に、次のような場合は検討しやすいでしょう。

すでに商品を購入してくれるお客様がいる

実店舗やイベントなどで販売していて、「県外からも注文したい」「また購入したい」という声がある場合です。

購入を希望する人がすでにいるのであれば、その人たちが注文できる場所としてネットショップを用意する意味があります。

最初から大規模なショップを作る必要はありません。まずは人気商品を少数掲載し、無理のない範囲で始める方法もあります。

継続的な販売やリピート購入を増やしたい

食品や日用品など、繰り返し購入される可能性のある商品を扱っている場合です。

自社のネットショップであれば、商品を気に入ったお客様が再購入できる場所を用意できます。

ただし、リピーターを増やすには商品への満足だけでなく、注文のしやすさや配送対応なども重要です。

商品やブランドを自社で育てたい

商品説明や写真、ブランドの世界観、販売する商品の組み合わせなどを、自社で考えていきたい場合です。

作り手の考えや地域とのつながりを丁寧に伝えながら、長期的にブランドを育てる方法があります。

一方、こうした運用を継続する時間や人員が確保できない場合は、最初から多くの機能を持つネットショップを作る必要はありません。

ふるさと納税が向いているのはどんな事業者?

ふるさと納税は、地域と関係のある商品を持ち、自治体の制度や運用条件に合わせて継続的に提供できる事業者にとって、販路の選択肢になります。

地域ならではの商品を持っている

地域で生産された農産物や、地域で製造・加工された食品、地域の特色を活かした工芸品などです。

ただし、地域で販売している商品なら何でも返礼品として認められるわけではありません。

商品の生産・製造場所や加工工程などによって、適用される地場産品基準が異なります。

自社の商品が返礼品として扱えるかどうかは、まず対象自治体へ確認しましょう。

自社の商品を全国へ知ってもらいたい

これまで地元中心に販売してきた商品を、地域外の人へ届けたい場合です。

ふるさと納税のポータルサイトに掲載されることで、これまで自社を知らなかった人に商品を見てもらえる可能性があります。

ただし、掲載すれば必ず寄附が集まるわけではありません。

商品の特徴、内容量、写真、説明、提供条件などが分かりやすく伝わることも重要です。

商品づくりと出荷に集中したい

自社でネットショップを運営する場合、商品ページの管理や販売促進、注文への対応など、販売に関する仕事が発生します。

ふるさと納税では、自治体や中間事業者がポータルサイトへの掲載などを担当する場合があります。

そのため、自社でWebサイトを作ることに不安がある事業者でも、検討しやすい場合があります。

一方、受注・出荷管理システムの操作や商品の発送は、事業者側で対応することもあります。

すべてのパソコン作業を任せられるとは限らないため、事前に役割を確認することが大切です。

どちらから始めるか迷った時の5つの判断ポイント

ネットショップとふるさと納税のどちらが向いているかは、次の5つを確認すると考えやすくなります。

1. すでにお客様がいるか

実店舗やイベントで商品を販売していて、県外のお客様から直接購入したいという声がある場合は、ネットショップを検討しやすくなります。

一方、まだ地域外に自社を知っている人が少ない場合は、ふるさと納税を通じて商品を知ってもらう方法も選択肢になります。

ただし、どちらの販路でも、商品を掲載するだけで十分な注文が入るとは限りません。

2. 商品が返礼品として扱えるか

ふるさと納税を検討する場合は、商品が地場産品基準などを満たす必要があります。

これは通常のネットショップとは大きく異なる点です。

基準を満たす可能性があるか分からない場合は、制度を一から調べて判断するよりも、自治体の担当窓口へ相談する方が進めやすいでしょう。

3. 商品を届ける費用と利益が合うか

どちらの販路でも、商品を届けるために費用が発生します。

商品原価、梱包資材、出荷作業、配送費用などを整理し、利益が残るか確認しましょう。

ネットショップでは、利用サービスの費用や決済手数料、広告費なども関係する場合があります。

ふるさと納税では、寄附金額がそのまま事業者の売上になるわけではありません。事業者へ支払われる金額と、自社が負担する費用を確認する必要があります。

また、送料や商品撮影など、何を事業者が負担するかは自治体・中間事業者によって異なります。

それぞれの販路で、実際に自社へ残る金額を考えることが重要です。

4. 商品を継続して供給できるか

ネットショップでもふるさと納税でも、注文が入ったら商品を届ける必要があります。

現在の製造量、在庫、出荷担当者、梱包に必要な時間などを確認しましょう。

特に少人数で運営している会社では、販路を増やすことで通常業務に無理が出ないかも考えたいところです。

注文が増えることは良いことですが、対応できる数量を超えてしまうと、品質や納期に影響する可能性があります。

まずは無理なく提供できる数量から考えましょう。

5. 誰が販売や出荷を担当するか

ネットショップでは、商品登録、価格や在庫の更新、注文確認、問い合わせ対応などを誰が担当するか決める必要があります。

ふるさと納税では、自治体・中間事業者が担当する仕事を確認したうえで、自社の受注確認や出荷業務の担当者を決めます。

重要なのは、パソコンが得意な人がいるかどうかだけではありません。

日常の業務として、無理なく続けられるかどうかです。

ネットショップを始めるなら、まずは小さく試してみる

ネットショップを始める場合は、最初から多くの商品や複雑な機能を揃える必要はありません。

まずは、実際に注文したいと言ってくれるお客様がいる商品や、自社の看板商品などから検討します。

最初に販売する商品を絞る

商品が何十種類もある場合でも、最初からすべて掲載する必要はありません。

配送しやすく、品質を保ちやすく、利益が残る商品から始める方法があります。

たとえば、常温で保存できる加工品や、すでにギフトとして販売している商品などは、配送方法を整理しやすい場合があります。

ただし、商品の特性によって必要な梱包や保存条件は異なります。

価格・送料・注文対応を確認する

商品代金だけでなく、送料や梱包費用、利用するサービスの費用などを確認します。

また、注文が入った時に誰が確認し、いつ発送するかを決めておきましょう。

ネット通販では、必要な事業者情報や取引条件の表示、商品に応じた法令上の表示なども確認する必要があります。

利用するサービスの案内や関係するルールを確認しながら進めます。

お客様の反応を見ながら改善する

販売を始めた後は、注文数だけでなく、よく聞かれる質問や購入後の感想なども確認します。

内容量が分かりにくいなら写真を追加する。保存方法について質問が多いなら説明文を修正する。

このように、小さく改善しながら育てていく方法があります。

ふるさと納税を始めるなら、まず自治体へ相談する

ふるさと納税の場合は、ネットショップとは最初の進め方が異なります。

まず、出品を希望する自治体の担当窓口や、自治体が指定する相談先を確認しましょう。

自社の商品が対象になりそうか確認する

商品名、生産・製造場所、原材料、加工工程などの基本情報を整理します。

自治体へ相談し、地場産品基準などの条件を満たす可能性があるか、必要な手続きを確認します。

必要な商品情報を準備する

商品内容、内容量、保存方法、写真、提供可能数など、自治体・中間事業者から求められる情報を準備します。

ポータルサイトの商品ページは中間事業者が作成する場合もあるため、誰が作業を担当するか確認しましょう。

商品撮影などの支援が利用できる場合は、その内容も確認しておくと、不要な外注費用を抑えられる可能性があります。

出品後の仕事を確認する

返礼品の掲載が始まったら、商品の製造・準備や出荷への対応が必要です。

誰が受注を確認するのか、出荷管理システムを使う必要があるのか、配送時の連絡はどこへ行うのかなどを確認します。

最初からすべてを理解する必要はありませんが、日常的に使う操作や連絡方法は、事前に覚えておくと安心です。

ネットショップとふるさと納税を組み合わせる方法もある

ネットショップとふるさと納税は、必ずどちらか一つを選ばなければならないものではありません。

たとえば、ふるさと納税で自社の商品を初めて知ってもらい、その後、別の機会に自社の商品を直接購入してもらうという関係が生まれる可能性もあります。

自社のネットショップがあれば、商品を気に入った人が、改めて商品を探した時に購入できる場所になります。

ただし、ふるさと納税の寄附者情報を、事業者が自由に自社の販促活動へ利用できるわけではありません。

商品へのチラシ同梱や販促案内なども、自治体・中間事業者のルールを確認する必要があります。

また、両方を同時に始めることで、製造・出荷の負担が大きくなる場合もあります。

最初から販路を増やしすぎる必要はありません。

まずは自社に合う方法で始め、商品を安定して提供できるようになってから、次の販路を考える方法もあります。

自社で進められる場合と、外部支援を検討したい場合

ネットショップやふるさと納税を始めるために、必ず外部支援会社へ依頼する必要はありません。

自社で進めやすい場合

販売したい商品が決まっている。商品原価や提供できる数量を把握している。日々の注文確認や出荷を担当できる人がいる。

このような場合は、利用するネットショップサービスの案内や、自治体・中間事業者の支援を活用しながら、自社で進められる可能性があります。

最初からすべての仕事を外部へ任せる必要はありません。

外部支援を検討したい場合

一方、商品が複数あり、どれから始めればよいか決められない、利益計算に自信がない、販路ごとの違いが分からない、準備する時間がないといった場合もあります。

ふるさと納税では、自治体・中間事業者が対応してくれる部分を先に確認したうえで、返礼品候補の整理、商品設計、利益計算、掲載に必要な情報の整理、出品後の改善などを相談する方法があります。

外部支援を利用する場合も、何を依頼するのかを明確にし、不要な費用を増やさないことが大切です。

販路を選ぶ前のチェックリスト

まずは、現在の事業や商品について確認してみましょう。

【商品・お客様】

・全国へ届けたい商品がある
・商品の特徴や魅力を説明できる
・現在、どのようなお客様が購入しているか分かる
・県外のお客様から購入希望の声があるか把握している

【利益・出荷体制】

・商品原価をおおよそ把握している
・梱包や出荷に必要な費用を確認できる
・無理なく提供できる数量を考えられる
・注文確認や発送を担当する人がいる

【ネットショップを考える場合】

・誰に商品を販売したいか考えている
・利用する販売サービスを比較できる
・価格、送料、手数料を確認する
・お客様へ商品を知ってもらう方法を考えている

【ふるさと納税を考える場合】

・商品と地域との関係を説明できる
・出品を希望する自治体を確認できる
・必要な手続きや地場産品基準について相談する
・中間事業者が担当する業務を確認する
・出品後の受注・出荷方法を確認する

すべての項目が揃っていなくても構いません。

まずは、すでに分かっていることと、これから確認することを分けてみましょう。

まとめ:地域商品を全国へ届ける方法は一つではない

地域の商品を全国へ届ける方法には、ネットショップやふるさと納税などがあります。

ネットショップは、自社の商品を直接販売し、継続的な購入につなげる場所を作りたい場合に向いています。

ふるさと納税は、制度上の条件を満たす地域商品を返礼品として提供し、全国の寄附者に知ってもらう機会を作れる方法です。

どちらが正解というわけではありません。

すでに購入してくれるお客様がいるのか。商品が返礼品として扱えるのか。利益が残るのか。無理なく出荷できるのか。誰が日々の運用を担当するのか。

こうしたことを整理し、自社に合う販路から始めることが大切です。

また、地域の商品を全国へ届けることは、売上を増やすだけでなく、地域の産業や文化、作り手の思いを知ってもらう機会にもなります。

事業として利益を残しながら、その取り組みを続けていくことが、長期的な地域貢献にもつながります。

まずは自社の商品の特徴と現在の体制を確認し、無理なく始められる方法を考えてみましょう。

ふるさと納税を活用した販路開拓を検討している方へ

ローカルブランディング株式会社では、九州の中小企業・生産者向けに、ふるさと納税・販路開拓支援「モノサポ」を提供しています。

ふるさと納税へ出品することだけを目的にせず、返礼品候補の整理、利益設計、供給・出荷体制の確認、自治体・中間事業者へ渡す商品情報の整理など、事業者側で必要な準備を支援しています。

自治体や中間事業者が対応してくれる作業については、その仕組みを活用します。

「自社の商品が返礼品に向いているか分からない」「ネット販売も気になるが、まず何から始めればよいか迷っている」「商品はあるのに販路開拓の準備が進まない」といった場合は、現在の商品や事業の状況から整理する方法があります。

なお、返礼品としての適合性や具体的な出品条件は、対象自治体の最新の案内に基づいて確認する必要があります。

すべてを外部へ依頼する必要はありません。自社でできることと、支援を利用した方がよいことを分けながら、無理なく続けられる販路を考えてみてください。

関連ページ:ふるさと納税の出品前診断や支援範囲、費用については「よくある質問」もご確認ください。

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