採用がうまくいかない原因は?|中小企業が最初に見直したい4つのポイント

「求人を出しているのに、なかなか人が採用できない」
「応募は来るけれど、希望する条件の人が集まらない」
「採用できても、すぐに辞めてしまう」
中小企業の採用活動では、このような悩みが起こることがあります。
人が採用できないと、求人広告を増やす、募集条件を変える、求人媒体を乗り換えるなど、何か新しいことを始めたくなるかもしれません。
しかし、採用がうまくいかない原因は会社によって異なります。
そもそも求人を見てもらえていない会社と、応募は来るのに面接へ進まない会社では、必要な対策は同じではありません。また、採用後に早期退職が続いている場合は、求人広告よりも入社前の説明や職場の受け入れ体制を見直した方がよいかもしれません。
大切なのは、新しい採用方法を増やすことよりも、まず自社の採用活動がどこで止まっているのかを確認することです。
この記事では、採用がうまくいかない中小企業の経営者・採用担当者向けに、4つの代表的な状態と、それぞれで確認したいポイントを分かりやすく解説します。
先に結論:採用できない理由を一つにまとめない
「採用できない」という悩みには、いくつかの異なる状態があります。
たとえば、求人を出しても応募がない場合、求人内容や募集方法を見直す必要があるかもしれません。
応募はあるものの、仕事内容や勤務条件が合わない場合は、求人票の説明や採用条件を確認します。
応募後に連絡が取れなくなる、面接を辞退される場合は、応募後の対応や選考の進め方が関係している可能性があります。
そして、採用後にすぐ辞める人が続いている場合は、入社前に伝えた内容と実際の職場に違いがないかを確認します。
このように、同じ「人が採れない」という状況でも、改善する場所は異なります。
最初からすべてを見直す必要はありません。現在、一番大きな問題が起きている段階から確認することが重要です。
1. 応募が来ない場合:求人の見られ方と内容を確認する
求人広告を掲載しているのに、応募がほとんど来ない場合です。
この時、すぐに広告費を増やすことが正解とは限りません。
まず、現在の求人が求職者に見られているのか、それとも見られていても応募されていないのかを確認します。
求人を十分に見てもらえていない
求人媒体によっては、求人の表示回数や閲覧数などを確認できます。
そもそも求人がほとんど見られていないのであれば、求人媒体の選び方、求人タイトル、募集地域、掲載方法などを見直す必要があるかもしれません。
ただし、すべての求人媒体で同じ数字を確認できるわけではありません。現在利用している媒体で、どのような情報を見られるか確認しましょう。
求人を見られているのに応募されない
求人は見られているものの応募が少ない場合は、仕事内容や勤務条件、会社情報に改善余地があるかもしれません。
たとえば、「店舗スタッフ募集」とだけ書かれている求人では、どのような仕事をするのか分かりにくい場合があります。
仕事内容、勤務時間、休日、給与、入社後に覚える仕事など、応募者が判断したい情報を具体的に伝えることが大切です。
また、求人票を見た人が会社名を検索した時に、会社のホームページや採用情報を確認できるかも見直しましょう。
【まず自社でできること】
現在の求人票を開き、仕事内容が具体的に書かれているか、勤務条件に間違いがないか、職場の様子が伝わるかを確認します。
そのうえで、求人がどの程度見られているかも確認し、掲載方法の問題なのか、求人内容の問題なのかを分けて考えましょう。

2. 応募は来るが条件が合わない場合:求人票と採用条件を確認する
応募数はあるものの、面接をしてみると仕事内容や勤務条件が合わない人が多い場合です。
この状態では、応募数をさらに増やしても、採用につながるとは限りません。
仕事内容が正しく伝わっているか
たとえば、会社側は接客に加えて清掃や在庫管理も担当してほしいのに、応募者は接客だけの仕事だと考えている場合です。
また、「未経験者歓迎」と書いているものの、実際には入社後すぐに一定の経験や知識が必要になる仕事もあります。
このような場合は、求人票に書かれた仕事内容と、現場で実際に行っている仕事を比較してみましょう。
採用担当者だけでなく、現場責任者にも確認すると、伝えきれていない仕事内容が見つかる場合があります。
採用条件を厳しくしすぎていないか
必要な条件を増やしすぎている場合もあります。
仕事を行うために必ず必要な資格・経験と、入社後に覚えられる内容を分けて考えましょう。
たとえば、入社後に教えられる業務まで必須条件にしていると、本来は仕事を覚えられる人が応募をためらう可能性があります。
反対に、業務上どうしても必要な条件を曖昧にしていると、応募後に条件が合わないことが分かる場合もあります。
採用したい人のイメージを、年齢や性格といった曖昧な条件だけで決めるのではなく、実際の仕事に必要な適性や能力から整理することが大切です。
【まず自社でできること】
求人票に書いてある仕事内容と勤務条件を現場責任者に確認してもらい、実際の仕事と違うところがないかを見直します。
さらに、応募者から面接で何度も質問される内容があれば、求人票に追加できないか考えてみましょう。

3. 応募後に面接・採用へ進まない場合:選考の流れを確認する
応募が入っているのに、面接まで進む人が少ない場合があります。
初回連絡をしても返信がない、面接日程が決まらない、面接前に辞退される、といった状態です。
この場合は、求人の見られ方よりも、応募後の対応に問題がないかを確認します。
応募への連絡が遅れていないか
採用担当者が兼任の場合、通常業務を優先するうちに、応募者への連絡が遅れてしまうことがあります。
すぐに面接日時まで決められない場合でも、応募を受け付けたことと、次の連絡予定を伝える方法があります。
大切なのは、誰が応募を確認し、いつまでに連絡するかを決めておくことです。
面接日程を決めるまでに時間がかかっていないか
「都合のよい日を教えてください」と応募者に確認し、その後で社内調整を始めると、何度もやり取りすることがあります。
会社側で面接可能な日時をいくつか用意しておくと、調整を進めやすくなります。
また、面接場所、所要時間、持ち物などを事前に案内しておくことも大切です。
面接での判断基準が曖昧になっていないか
面接は実施できているものの、採用につながらない場合は、確認する内容や判断基準を見直す必要があるかもしれません。
面接官によって質問内容や評価が大きく違う場合は、仕事に必要な経験・能力、勤務条件、仕事への理解など、基本的な確認項目を揃えておく方法があります。
また、面接は会社が応募者を評価するだけの場ではありません。
応募者も会社を理解し、入社するかどうかを考えています。仕事の良い面だけでなく、働き方や大変な部分についても正確に説明しましょう。
【まず自社でできること】
直近の応募を振り返り、何件応募があり、何件面接日程が決まり、何件実際に面接できたかを確認します。
どの段階で減っているかを見たうえで、連絡方法、日程調整、面接での説明を見直しましょう。

4. 採用してもすぐ辞める場合:入社前後のズレを確認する
採用人数は確保できているのに、入社後の退職が続いている場合です。
この状態では、採用を増やすことと同時に、なぜ定着しないのかを確認する必要があります。
入社前の説明と実際の仕事が違っていないか
求人票や面接で説明した仕事内容と、入社後に任せている仕事が異なると、本人が「聞いていた話と違う」と感じることがあります。
給与や勤務時間などの条件だけでなく、仕事の進め方、職場の忙しさ、教育方法なども確認しましょう。
実際の職場に合った説明ができているか、現場と採用担当者で認識を揃えることが大切です。
入社後に仕事を教える体制があるか
「未経験者歓迎」として採用した場合でも、入社後に十分な教育ができていなければ、仕事を覚えることが難しくなります。
初日に誰が対応するのか、最初に何を覚えるのか、分からないことを誰に質問するのかを決めておきましょう。
最初から大きな研修制度を作る必要はありません。新しく入社した人が、仕事を覚えるまでの流れを分かるようにすることが重要です。
職場環境に改善すべき問題がないか
退職の原因を教育不足だけで考えないことも大切です。
仕事量が多すぎる、勤務条件に無理がある、相談しにくい、人員配置に問題があるといった場合は、職場そのものの改善が必要になります。
退職理由は一人ひとり異なり、会社側では防げない退職もあります。
そのため、すべての退職を防ぐことよりも、同じ問題が繰り返されていないかを確認しましょう。
【まず自社でできること】
最近退職した人について、入社後どのくらいで辞めたのか、どの部署で働いていたのか、どのような問題があったのかを整理します。
そのうえで、求人票、面接での説明、入社後の教育、職場環境にズレがなかったか確認してみましょう。

採用活動を見直す優先順位はどう決める?
ここまで4つの状態を紹介しましたが、実際には複数の問題が同時に起きている会社もあります。
その場合、すべてを一度に改善しようとすると、経営者や採用担当者の負担が大きくなります。
まずは次の3つの手順で整理するとよいでしょう。
STEP1:応募から入社後までの状況を並べる
最初に、現在の採用活動を振り返ります。
確認できる範囲で、次の数字や情報を整理しましょう。
・求人を出した職種と期間
・応募件数
・面接を実施した件数
・内定を出した件数
・実際に入社した人数
・入社後に短期間で退職した人数
複雑な採用管理システムがなくても構いません。
求人媒体の管理画面や、社内で残している記録から分かる範囲で確認します。
STEP2:一番困っている場所を決める
数字や状況を整理したら、現在の採用活動で最も困っているところを確認します。
そもそも応募がないのか。応募はあるが条件が合わないのか。応募後に辞退が多いのか。採用した人が定着していないのか。
すべて重要ですが、最初に改善する場所を一つ決めておくと取り組みやすくなります。
なお、少人数の採用では、数件の応募や辞退だけで原因を断定することは難しい場合があります。数字だけで決めず、実際に起きていることも合わせて確認しましょう。
STEP3:改善することを一つ決める
問題が見つかったら、まず一つ改善してみましょう。
求人票の仕事内容を書き直す。応募への初回連絡の担当者を決める。面接候補日を事前に確保する。入社初日の受け入れ担当者を決める。
大きな施策を始める前に、現在の仕事の進め方を変えるだけで対応できることもあります。
改善後は、以前と比べてどのような変化があったか確認します。
ただし、応募数や採用数は時期、職種、地域の状況などにも左右されるため、一度の結果だけで効果を断定しないことが大切です。
求人広告費を増やす前に確認したいこと
人を採用したい時に、求人広告は大切な手段の一つです。
ただし、広告費を増やせば、必ず応募や採用が増えるわけではありません。
たとえば、求人を十分に見てもらえていないのであれば、広告や募集経路を見直す意味があります。
一方、求人は見られているのに応募されない場合は、求人内容や条件を改善する方が先かもしれません。
また、応募が入っているのに面接へ進まない場合は、広告費を増やして応募数を増やしても、その後の対応に同じ問題が残ります。
求人広告を利用すること自体が悪いわけではありません。
重要なのは、現在の課題に対して、その費用が必要なのかを考えることです。
求人広告費、原稿作成費、採用支援費などは、目的も対応範囲も異なります。
どこへ費用をかければよいか分からない場合は、先に採用活動の問題を整理しましょう。
自社で改善できる場合と、外部支援を検討したい場合
採用がうまくいかないからといって、必ず外部の採用支援会社へ依頼する必要はありません。
自社で改善しやすい場合
原因がある程度分かっていて、改善する時間や担当者を確保できる場合です。
たとえば、求人票の仕事内容が古い、応募後の返信担当者が決まっていない、入社初日の案内が不足しているといった問題です。
まず社内で対応方法を決め、実際に運用できるか確認してみましょう。
外部支援を検討したい場合
一方で、求人票を何度直しても応募が来ない、採用担当者が兼任で改善する時間がない、応募から入社後まで複数の問題があるといった場合もあります。
このような時は、採用活動全体を第三者と一緒に整理する方法があります。
ただし、外部へ依頼すれば会社側の仕事がすべてなくなるわけではありません。
仕事内容や勤務条件の決定、採用する人の最終判断、入社後の職場づくりなど、会社側が担う必要のあることもあります。
まずは、どの業務を自社で行い、どの部分を外部へ相談したいのかを考えることが大切です。
関連ページ:採用・定着支援の内容や料金、相談方法については「よくある質問」もご確認ください。
採用がうまくいかない時のチェックリスト
最後に、自社の採用活動を確認してみましょう。
【応募前】
・現在の求人がどの程度見られているか確認できる
・仕事内容が具体的に書かれている
・勤務条件が正確に伝わっている
・入社後にどのように仕事を覚えるか説明できる
・会社ホームページなどでも職場情報を確認できる
【応募者とのズレ】
・採用に必要な条件を整理している
・必須条件と歓迎条件を分けている
・求人票の内容と現場の仕事が一致している
・面接で繰り返し質問される内容を把握している
【応募後・面接】
・応募への連絡担当者が決まっている
・面接候補日を提示できる
・面接前の案内内容が決まっている
・面接で確認する項目を整理している
・選考結果の連絡方法が決まっている
【入社後の定着】
・入社初日に対応する人が決まっている
・最初に教える仕事が整理されている
・困った時に相談できる人がいる
・入社前の説明と実際の仕事にズレがない
・退職が続く場合に職場の状況を確認している
すべてを一度に改善する必要はありません。
まず、自社で不足している部分を確認し、現在一番困っているところから見直してみてください。
まとめ:採用がうまくいかない時は、改善する場所を先に決める
採用がうまくいかない場合、必ずしも求人広告を増やすことが正解とは限りません。
応募が来ないのであれば、求人の見られ方や仕事内容を確認します。応募者との条件が合わないのであれば、求人票と採用条件を見直します。
応募後に面接へ進まない場合は、連絡や日程調整、選考の進め方を確認します。採用してもすぐ辞める場合は、入社前の説明や教育、職場環境まで振り返ります。
原因を整理せずに新しい方法を増やしても、同じ問題が繰り返されるかもしれません。
採用を改善する第一歩は、特別な手法を導入することではなく、現在どこで困っているかを確認することです。
そのうえで、自社で改善できることから始め、必要な場合に外部の支援を利用すればよいでしょう。
採用のどこを見直せばよいか分からない方へ
ローカルブランディング株式会社では、九州の中小企業向けに採用・定着支援「ヒトサポ」を提供しています。
求人票の改善、応募導線の見直し、面接設計、入社後フォローなど、採用活動の状況に応じて必要な部分を整理し、改善を支援しています。
現在の求人票について、仕事内容や応募条件、会社の魅力が十分に伝わっているか確認したい場合は、「求人票の無料ミニ診断」もご利用いただけます。
なお、無料ミニ診断は求人票の改善ポイントを確認するためのもので、採用活動全体の問題をすべて診断するものではありません。
「何度求人を出しても同じ結果になる」「応募後や入社後にも課題がある」「専任の採用担当者がいない」といった場合は、採用活動全体を整理する方法もあります。
まずは現在の状況を確認し、自社で改善できることと、外部へ相談した方がよいことを分けて考えてみてください。
